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不動産価値が上昇した場合、速やかに売却すれば大きな利益を得られることでしょう。ただし、もし売却せずに保有し続ければ、さらに不動産価値が上昇する可能性もあります。もちろん、逆に不動産価値が下落していく可能性もあります。
不動産の適切な売却タイミングを判断することは、決して簡単ではありません。不適切なタイミングを選ばないよう、売却には慎重になる必要があります。
本記事では、不動産価値が上昇する要因や上昇時に売却すべきかどうかの判断基準、売却を判断する際に相談すべき専門家などについて解説しています。
不動産価値上昇の背景にある主な4つの要因を確認しましょう。
地域の開発や都市計画に関する議論、既存のインフラ整備や新たなインフラの構築計画などが具体化すると、対象エリアやその近隣エリアへの需要が高まって地価が上昇し、建物も含めた不動産価値全体が上昇することもあります。
また、その対象エリアが都市部や商業地であれば、土地の供給量が限られていることから、他の一般的なエリアに比べると地価上昇率が高くなる傾向も見られます。
ほかにも、インフレや経済成長により物価が上昇すれば、一般的にはこれに連動して地価も上昇。2024年現在の状況を見ても、ここ数年のインフレ傾向(物価上昇傾向)に連動する形で日本の地価は上昇中です。ちなみに東京の公示地価は、2023年度比で4.81%も上昇しています。
新たな商業施設が誕生すると、その周辺エリアの不動産価値が上昇することがあります。商業施設だけではなく、学校や公共交通機関(新駅など)、公園などが新たに誕生した場合も、通常はその周辺の不動産価値が向上します。
これらの新たな施設の建設は、基本的に周辺住民や周辺企業などの利便性を向上させる大きな要因。何らかの理由で利便性が向上したエリアの不動産価値が上昇することは、当然の流れと言えるでしょう。
需要に対して供給の少ない土地エリアでは、不動産価値が上昇しやすくなります。
たとえば、地方に比べると東京の不動産価値は高くなりますが、その大きな理由の1つが需給バランス。一般に東京はビジネス面でも生活面でも優位性の高いエリアとされますが、その優位性を求める需要に対して供給が追いついていません。供給に対して需要が大きい状態は、不動産に限らず価値上昇の大きな要因となります。
また、低金利政策で住宅ローンを借りやすい状態が続けば、不動産への需要が高まって価値上昇へとつながりやすくなります。
不動産価値の測り方の違いにより、対象エリアの不動産価値が上がったように見えることもあります。
不動産価値の測り方には、原価法や収益還元法、取引事例比較法などの複数の種類がありますが、同じ土地であっても測り方が異なれば、算出される不動産価格には差異が生まれます。この差異により、不動産価値が上がったように見えることもあるでしょう。
なお、実際に対象エリアの不動産価値が上がっているかどうかを知るためには、不動産業者や査定サイト等を利用し、定期的に市場での価値を確認することが重要です。
価値が上昇した不動産を売却することで、価値上昇分の利益確定ができます。想定外の価格で売れれば、以後の生活に大きな好影響がもたらされるかもしれません。
建物付きの土地や更地をお持ちで、かつ近隣でインフラ整備や周辺環境の改善等が行われていれば、土地の現在価値は大きく上昇しているかもしれません。しばらく不動産価値の査定を行っていない方は、ぜひ不動産会社の簡易査定等を利用して想定される売却価格の目安を確認してみてはいかがでしょうか。
不動産業者等に査定を依頼した結果、仮にお持ちの不動産の価値が上昇中だったとしても、以後も価値が上がり続けることが約束されているわけではありません。もしかすると、査定を依頼した時点が天井で、その後は価値が下がり続ける可能性もあります。
株式等とは異なり、不動産の価値変動幅は非常に緩やかですが、常に変動していることを忘れてはいけません。価値が上がっている間に売却すれば、将来的な不動産市場の変動リスクを回避できます。
価値上昇中の不動産を売却することで、より有望な対象への投資資金を確保できます。
通常、不動産売却で得られる現金は、利益も上乗せすれば莫大な金額となります。エリアによっては、小さな不動産でも土地代込みで数千万円の現金が手に入るかもしれません。
この数千万円をさらに将来性のある土地へ投資したり、または新たなビジネスを興したりなどすれば、売却金の有効活用につながります。
不動産の価値は常に変動している以上、明日以降も値上がりを続ける保証は全くありませんが、逆に明日から値下がりに転じることが決まっているわけでもありません。場合によっては、以後数年、数十年と値上がりを続ける可能性もあります。
不動産を売却するということは、将来的な値上がりの可能性を放棄するということ。逆に売却しなければ、将来的な値上がりへと期待を維持し続けることができます。
不動産を売却せず、賃貸物件として運用することにより、継続的な収入を確保することも可能です。駅近や大学等の近くにある不動産であれば、長期的な収益につながる可能性が高いことから、物件のタイプに応じて売却するか賃貸物件で運用するかを考えてみると良いでしょう。
年金収入のみでは生活に余裕のない方などにとって、売却で得られる一時的な大金よりも、月々の安定的な家賃収入のほうが役立つ場合もあるでしょう。
不動産市場が好調な時期こそ、積極的に売却を検討すべき絶好のタイミングとなります。
ただし、単に不動産の平均的な公示地価等を見て「今が好調」と判断するのは早計。不動産相場とあわせ、金利動向や世界経済の推移、住宅供給量、人口動態、再開発計画の内容、周辺の類似物件における直近の取引価格などを総合的に勘案し、不動産市場の大局を掴みましょう。
これらの状況を正しく把握するためには、専門家の力を借りることが不可欠となります。不動産売却の仲介を得意とする業者などに相談し、売却のタイミングに適しているかどうかの助言を仰ぐと良いでしょう。
近い将来にライフプランの大きな変更が予想されている方は、不動産売却のタイミングが近いと考えて良いかもしれません。
たとえば、子供が独立するタイミングや定年退職など。子供が独立して再び夫婦二人暮らしとなれば、住宅は無駄に大きな箱になるかもしれません。不動産を売却し、その売却資金でよりコンパクトで生活しやすい不動産を購入したほうが、夫婦二人の生活は快適になるのではないでしょうか。
また、定年退職時も典型的な住み替えタイミングの1つ。老後生活に備え、現在の家を売却してバリアフリーの平屋住宅を立て直す世帯も少なくありません。
周辺エリアのインフラ整備等により地価が急激に上昇した場合、その時点が売却に適したタイミングになることもあります。
地価の急上昇は、将来への期待値が過剰に反応した結果で起こることもあります。もし期待値の過剰反応であれば、早々に適切な価格まで地価が下落する恐れもあるでしょう。急上昇したタイミングで速やかに売却すれば、過剰反応の分まで利益として確保できる可能性があります。
売却の対象が不動産である以上、まずは不動産会社に売却の相談を持ちかけることが必須となります。不動産会社の仲介なくして、自力で買主を探すことはほとんど不可能と理解してください。
売却の相談を受けた不動産会社は、対象となる不動産の査定や売却プロセス等について詳細なアドバイスを提供します。不動産価格の適切な評価にも精通しているため、できる限り有利な売却タイミングを示してくれることでしょう。
なお、不動産会社の売却仲介サービスは成功報酬制となるため、売却が成立しない限り、相談者が負担する費用はありません。すぐに売却するつもりのない方も、気軽に不動産会社へ相談してみましょう。
不動産価値が上昇しているタイミングで不動産を売却した場合、売却金が購入費用を上回って譲渡所得(利益)が発生することもあります。仮に譲渡所得が発生すれば、その所得を正確に計算の上、確定申告書類を作成して税務署へ提出し、適切な納税を行う必要が生じます。
これら一連の計算や書類作成のプロセスは非常に煩雑なので、専門家である税理士の力を借りることが一般的。納税額を誤った場合、追徴課税や延滞金の納付が生じる恐れもあるので、納税に関する各種の作業は税理士に一任したほうが無難でしょう。
なお、税理士に相談すれば、合法的な範囲内での節税アドバイスを受けられることもあります。素人の確定申告にはないメリットです。
不動産売却に伴い、各種の法的な問題が懸念される場合には、売却に先だって弁護士に相談しておくと良いでしょう。
不動産売却に伴う法的問題の例としては、遺産分割の絡む不動産の売却や離婚による財産分与が必要となる不動産の売却、借地権が付帯した不動産の売却など。あらかじめ弁護士に相談しておけば、もし何らかのトラブルが発生した場合でも、担当弁護士が代理人として相手方との交渉を行います。トラブルの可能性がある不動産をお持ちの方にとって、弁護士は頼もしいパートナーとなるでしょう。
不動産の売却金を何らかの形で活用したいならば、売却活動と並行してファイナンシャルプランナーにも相談してみるようおすすめします。
ファイナンシャルプランナーは、お金の活用に関する総合的な助言を行う専門家。相談者の収入や財産、加入中の保険、返済中のローンなどを全体的に考慮し、不動産の売却金の適切な使い方や資産運用の仕方をアドバイスします。
ライフイベントの変化をきっかけに不動産を売却する方にとっては、特に有益なアドバイスが期待できるでしょう。
売却対象となる不動産の現在価値を把握するため、不動産会社に対して査定を依頼しましょう。
ネット上から不動産会社の無料査定サービスや簡易査定サービス等を利用すれば、対象不動産の現在価値を概ね知ることができますが、より正確に不動産価値を知りたい方は、不動産会社を訪ねて詳しい査定を依頼すると良いでしょう。
なお査定依頼は、複数の不動産会社へ依頼することが重要です。不動産会社により査定額に違いがあるからです。中には、自社に仲介契約を持ち込む目的で、極端に高い査定額を示す不動産会社もあるのでご注意ください。
複数の不動産会社の中から、最終的に仲介契約を結ぶ不動産会社を決めたら、担当者とともに具体的な売却計画の内容を立案します。
この時点で検討する主な内容は、売り出しの時期や売出価格、販売活動の流れ、物件の宣伝方法など。売却前のリフォームや修繕が必要か否かという点も、この時点で検討されます。
立案した計画をベースとし、具体的な販売活動へと入ります。
主な販売活動の方法は、レインズ(不動産業界のデータベース)への登録、自社仲介(自社が持つ顧客への売却仲介)、ポータルサイト等への掲載、折込チラシの配布、SNSマーケティングなど。購入を検討している方を物件へ招いて案内する「内覧」も、重要な販売活動の1つとなります。
価格交渉から契約手続きも含め、不動産会社の各種サポートを受けながら販売活動を進めます。
不動産売却により譲渡益が生じる場合には、税理士と連携して正しく確定申告書類を作成し、税務署へ提出した上で指定された納付期限までに所定の税金を納めます。
自分で用意するべき書類の準備や税金納付のスケジュール等、税理士から細かい助言を仰ぎましょう。節税の可否についても確認しておくようおすすめします。
不動産価値が上昇中の売却について、売却するメリットや売却しないメリット、適切な売却タイミング、主な相談先、売却の流れなどについてご紹介しました。
不動産価値が上昇したときは売却で利益確定させるチャンスですが、その時点が価格のピークとは限りません。さらに価格が上昇する可能性もあるので、市場動向などを踏まえて慎重に売却時期を検討しましょう。
また、単に不動産価格が上昇したという理由で売却を急いだ場合、売却金の使途がなく資金が宙ぶらりんになるかもしれません。資金が宙ぶらりんのままインフレが進行すれば、売却金の価値が実質的に目減りしていく恐れもあることから、使途が明瞭なタイミング(ライフプランが変化するときなど)で不動産を売却する、という選択肢も検討しておくと良いでしょう。
少しでも有利に不動産を売却するためには、不動産会社や税理士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、適切なサポートを受けることが大切です。一般に不動産価格が急変することはないので、専門家に相談しながら、焦らずに適切な売却タイミングを考えましょう。
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